エンドウ201系の譲渡整備 (3)【ヘッドライト改良編】

こんにちは。
前回は譲渡が決まったエンドウ201系のこれまで施工済みの内容について書きました。今回はヘッドライト、すなわち前照灯の改良を行います。

エンドウ クハ201 LED化
 前回書きました通り、ヘッドライトレンズにNゲージ用パーツの「タヴァサPN022 250W用ヘッドライトレンズA 2個入 直径1.9mm」を挿入しております。余談ですがこのパーツ、1個100円もします。1粒100円です。しかし、先端の形状が秀逸でして、113系シールドビーム車など幅広く16番ゲージの世界で通用するパーツで、お勧めできるもので当店でも在庫しております。
 写真のようにすでに美しく加工が済んでます。すでに完成してますので改良しないほうがいいのでは?と思う方も多いと思います。ところが、特定の条件を満たすと発生してしまうある不具合があります。


PWM制御で後退中の様子
 それはこのように、テールライトとヘッドライトが同時点灯してしまう現象が起きます。これはこの車両のみで発生するものでなく、条件を満たせばほとんどのメーカー完成品でも発生する事象ですので、不良ではありません。しかしながら、気になることもまた事実です。当時はこの事象に対する対策方法が店主のなかで確立しておりませんでしたが、現在ならばかなり軽減することができます。


スロットル2
 そのまえに、この事象と表現し続けるのもおかしいので、原因についてお話いたします。まず、この現象は通常のDCパワーパックでは発生致しません。PWM制御方式のパワーパックで発生致します。PWM制御方式とは、高速にてONとOFFを切り替えるスイッチング動作によって、電力を制御する方式で、モケイ用途などモーター制御の場合はONとOFFの時間の比率によって速度をコントロールします。大きなくくりとして、モケイ業界ではパルス方式パワーパックなどと言われる場合があります。

 余談ですが、パスル方式パワーパックでコアレスモーターを動作させると、モーターを壊すという説がありますが、これは不正確です。正確にはコアレスモーターにおいて、低い周波数を印加する回路の場合、モーターを焼損する恐れがありますが、十分に高い周波数においてはコアレスモーターであってもPWM制御で問題なく動作できます。こちらの波形は、当店で利用しておりますTOMIXのワイヤレスコントローラーの出力波形ですが19.2Khzを出力しており、コアレスモーターでも安全に運用できます。このNゲージ用パワーパックの出力を増強して店頭で利用しております。詳しくは2010年12月3日のこちらの記事をご覧ください。一方、コアレスモーターに不向きなパワーパックは、商用電源の50Hzまたは60Hzといった低い周波数の成分がパワーパック出力に残留しているような旧式のパワーパックが該当します。タップ切り替え式の骨董パワーパックや、旧式のトランジスタコントローラーの一部などがこれに該当します。

 お話を元に戻し、このエンドウの201系は標準的な構成でEN22モーターを搭載してますから、コアレスモーターではありませんので前述の「余談」は無関係です。ではなぜ逆方向のライトが点灯してしまうのか、というお話ですが、DCモーターのPWM制御では逆起電力が発生するためです。写真の波形例を見ていただくと、モーターへの給電は1/5程度の時間で、のこりの4/5の時間は給電してません。これを19.2KHz=1秒間に19200回繰り返す動作をしております。1秒間に19200回ONとOFFを切り替えるわけですから、モーターがギクシャクするとお考えになるかもしれませんが、モーターには慣性がありますので、モーターはスムーズに回転をします。ONの時間が長くなって、OFFの時間が短くなればモーターは早く回転し、逆になれば遅くなります。DCモーターは回転軸を外部から回すと発電機として動作することはご存じかとは思いますが、このモーターへ給電していない4/5の時間の間もモーター軸は慣性で回転を続けてますので、まさに発電機として動作してしまいます。この発電された電力がレールへ流れ、先頭車両のライトの本来点灯しない側を点灯させてしまいます。

 ただし、この逆起電力はわずかな電力ですので、電球方式のライト装備車ではこの現象は起きません。わずかな電流でも点灯してしまうLEDならではの困りごとです。対策については後述します。

 ここで整理しますと、逆方向点灯が起きる条件は「ヘッドライト・テールライトにLEDを利用している車両において、PWM制御方式を採用していて、かつ逆起電力が十分に発生していること」となります。ならばPWM制御方式をやめればいいとお考えかとは思いますが、それでもPWM制御方式を行いたい決定的な理由はちゃんとあります。このあたりは長くなりますので別の機会にでも書きます。


エンドウ クハ201 車両内の部品構成
 今回譲渡となりますクハ201の車体を開けてみました。前位側にはコンデンサが3個並んでます。このうち1つは室内灯用で、残りの2つは、それぞれヘッドライトとテールライトのちらつき防止用です。さきほどLEDはわずかな電流で点灯してしまうと書きました。このわずかな電流がコンデンサを経ることによってさらに安定的なものとなり、逆方向のLEDをはっきりと点灯させてしまうようです。 

逆起電力の対策をしました。
 それでは対策に入ります。まず、対策には大きく分けて2つありまして、発生源のモーターから逆起電力をレールへ戻す「回生」を阻止する方法と、先頭車側で発生しているわずかな逆起電力に反応しなくさせる方法の2つがあります。
 前者の発生源のモーターに対して対策をする場合、編成中のすべての動力車へ施工が必要なだけでなく、電子回路を介しますので速度低下が発生します。ちなみにトミックスのグレー箱製品ではこの対策回路が搭載しているため、従来の青箱製品より動力車の速度が低下する結果となっております。一部の方で、青箱からグレー箱になって動力装置の性能が低下した、などと言う方がおりますが、これは誤りで、この対策回路によるものです。
 後者のライトユニット側で対策をする場合、複雑な構造の先頭車の場合は苦労することになりますが、今回のエンドウ201系では問題ありません。ただし、発生の元を断っているわけではないので、症状が残る場合もあります。特に明るく点灯させている場合に顕著に症状が残ります。
 今回の作例では、後者の対策で行こうと思います。ヒントは電球では発生しない、ということです。すなわち、LEDに比べ電球は大電力を必要としますので、LEDに大電力を消費してもらえばいいことになります。しかしそれではちらつき防止のコンデンサの容量をすぐに使いきってしまい、チラつき防止の効果が全く効かなくなるか、低くなりますから、そうならないように調整が必要です。この作例では写真のようにLEDと並列に1kΩの抵抗を取り付けましたところ、当店の環境においては逆起電力による逆方向ライトの点灯はなくなりました!この値は適当に決めたわけでなく、店主の経験上これだろう、という感覚から導いてます。値が少なすぎるとちらつき防止効果が減少しますし、大きすぎると逆方向点灯カットの効果が減ります。店主所有の車両においては、この対策だけでは不十分で、発生源であるモーター側の対策も併用してようやく収まった場合もありますので、今回はラッキーでしょうか。このあと反対側のクハ200についても同様の加工を行いました。
今日はここまで。
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